2010年11月20日

序章(1)「誰でも映画を作れる」って本当?

はじめまして!映画『エンプティー・ブルー』監督の帆根川廣(ほねかわこう)と申します。このブログにご訪問いただきありがとうございます。
今回から新たにスタートした連載記事『ゼロからの劇場映画制作講座』は、タイトルの通り、何の経験も機材も人脈も無い状態から、映画を作り、劇場公開し、DVDにして全国発売までしてしまうにはいったいどうしたらよいか、その方法を自身の経験を元に書いて行こうというものです。
 “独学”ってそんなにめずらしい?

僕が初監督した映画『エンプティー・ブルー』を制作し劇場公開する中で、沢山の方々から作品自体よりもむしろその制作方法や制作スタイルに興味を持っていただいていることに気が付きました。
誰から習った訳でも無く独学で生まれて初めて撮った映画を劇場公開までさせてしまったことは、特に映画業界の方々の目には非常に特異なこととして映ったようでした。自分では何も特別なことをしているつもりは有りませんでしたが、2009年の劇場公開の際のマスコミ取材でも、その部分にかなりのウェイトが置かれていたような記憶があります。学校や現場で師について学んだとしても、それを自分のものにするのは結局は独力によるのですから、たいした違いは無いように思うのですが。

新聞記事-毎日都内劇場カラー1ss.jpg


HogaHolic インタビュー記事


質問攻め “どうやったら映画が作れますか?”

また公開後には、これから映画制作を始めたいと考えている方々から沢山の質問メールをいただきました。
その多くは「どうやったら劇場映画を作れるんですか?」という漠然としたものでした。
最初、ひとつひとつに答えていましたがとても簡単に説明出来るようなことではありません。せっかく質問をいただいても充分な答えを伝えられないもどかしさがありました。

そんな思いもあって、今回この連載企画をはじめてみることにしたという訳です。


前置きは、短めに

ブログ形式の連載ですので、まずは手始めに幾つかの記事を書いて行きます。読者の皆さんからの質問や要望に応えながら、掲載内容を柔軟に変えていきたいと思っています。お気軽にコメント・メールなどをいただければうれしいです。(すべてにお答え出来るかどうかはわかりません。)

記事はなるべく誰にでも理解出来て実行可能な方法を、いろいろな切り口から、出来る限り具体的に紹介して行きます。ただ、映画『エンプティー・ブルー』で実際にお世話になった関係者の方々に関しては、プライバシーの問題や業務への影響も考えられるため、記事には書きませんしご質問等にもお答え出来ません。ご了承ください。


“映画監督になる” のが目的じゃない

そしてもう一つお断りがあります。この連載記事のテーマと目標は、「劇場映画を作る」ことであって、「映画監督になる」ことではありません。実は職業としての映画監督で生活していくことは非常に難しく、たくさんの映画監督さん達が、映画の監督業務以外にも他の作品の仕事を手伝ったり、映画の学校で講師をしたり、ワークショップと称して役者志望の方々に演技指導をしたりして生活しています。それ以外にも、サラリーマンをしながら監督をしているかただって知っています。凄いと思います。僕自身も、映画関連の仕事とそれ以外の仕事の両方を生活の糧にしています。一般的に、劇場映画を1本撮ったくらいで職業として純然たる“映画監督”であるとは言えないのがこの業界の現状のようです。

だから「映画を作って一儲け」なんて考えて居るかたには、この連載はまったく役に立たないものですので、即座にお引き取りください(笑)。
さらに、映画の学校で勉強されているかた、実際に制作に従事されて居るかたなど、正当派の道のりを日々歩んでいらっしゃる方々にとっても、いわば映画作りの裏道を紹介するこの連載記事は、読むに値しないような内容となります。その点、充分にご理解ください。

とにかくどんなことをしても“劇場映画を作る”。これが本連載の目標としているところです。


映画の“壁”

さて、本題です。
最近よく「機材が安くなって、誰にでも映画が簡単に作れる時代になった」と言われます。特に、映画を作った経験が無いかたにこの様な発言が多いのです。
本当にそうでしょうか?

僕が答えるとしたら「No」です。
実際に映画制作を始める前には、ある程度ちゃんとしたカメラが有って役者さんがいれば映画は作れるものだと思っていました。ところが始めてみるとすぐに壁にぶち当たることになりました。
何の計画も知識も経験も無しに始めれば、たとえ機材が有ったとしても映画として成立させる=完成させることすらままなりません。さらに目標を「劇場で公開出来る映画にすること」と考えたら、どれだけ沢山の壁がたちはだかるかわかりません。

壁に当たる要因はおもに、人・時間・お金・テーマ・環境、でしょうか。これは後述します。

出来ればこの連載記事を読んでくださる皆さんには、ぜひ一度その「壁」に軽く当たってみて欲しいです。その上で、直面した問題をどの様に乗り越えていくかを、一緒に考えて行って貰えたらベストと思います。もっとこうしたら良い、という先人のかたからのアドバイスも大歓迎です。とにかく目標はひとつ、「誰でもがスムーズに、劇場公開映画を作れるようになること」なのです。そのためには読者のかたの実感を伴う記事であることが大切で、一方的な押し付けでは何の役にも立ちません。

エンプティー・ブルー』の公開後、この作品をきっかけに沢山の監督さんと知り合うことが出来ました。皆、それぞれの方法で、僕と同じ壁を乗り越えてきた方々で、そのことを話しているといつまでも話が尽きませんでした。実はそういった方々から教わったことも数多いので、この連載の執筆に役立たせていただきたいと思います。


そんなに好きなら一度作ってみたらどうですか?

たくさんの映画好きの方々がいらっしゃいます。好きを通り越してマニアと呼びたいかたもいらっしゃいます。たしかに映画を観ることはたのしいです。でも、一度映画を“作る”楽しみを知ったら、完全に別の世界が開けます。もし今までに少しでも「自分の映画を撮ってみたい」という想いをいだいたことがあって明確な理由も無くあきらめているかたがいたら、ぜひ挑戦してみることをお勧めします。挑戦する条件がクリア出来ていて、あきらめなければ、きっと成就します。
ただし致命的な失敗をしないために、ぜひこの連載記事を役立ててください。映画は非常に危険な一面を持っています。軽はずみに始めて悲惨な結果になることがありますので、この事実もしっかりと付け加えておきます。


大スクリーンのすすめ

この連載記事がだれかの役に立つかどうかははっきり言ってわかりません。
ただ言えるのは、自分の作品が劇場の大スクリーンでたくさんのお客さんの前に映し出されるのは、ほんとうに痺れる、ということです。ちょっと説明がむずかしいのですが、とにかく他では味わえないような、モノ凄い感覚です。これをもっとたくさんのかたに体験してほしいのです。
この連載記事を読んでくれた皆さんの作品が、数年後には劇場の大スクリーンで華々しく上映されていることを心から願って、連載スタートの挨拶とさせていただきます。

それではしばらくの間、『ゼロからの劇場映画制作講座』にお付き合いください。

帆根川 廣


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posted by 帆根川 廣 at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ゼロから:序章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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