2010年12月01日

ステップバイステップ(4)仲間を集める 其の2

映画制作の明暗を最初に左右すると言っても言い過ぎではないくらい重要な、仲間集めについての第2回目です。

今回、呼び掛けに応えて来てくれたひとをあなたがよく見極めて、一緒にやるべき相手かどうかを判断するところで、制作者としての手腕を最初に発揮する場面がやってきます。
あなた自身がどの様な姿勢で仲間集めに望むかが、今後の作品の行く先を大きく別けるポイントになるという訳です。
 
そろそろテーマとジャンルを決めよう

仲間集めを進めるにあたって、作ろうとする作品のテーマと、それをどんなジャンルで表現するかをおおかた決めてしまう必要があります。もちろんシナリオまで書き上がっている必要はありません。良い仲間を探すのには意外と長い期間がかかるものです。ここで焦ってはいけません。この長い期間を利用して、自分が本当に表現したいものが何か、またそれに適した表現方法を、じっくりと確認することをおすすめします。

また、特定のジャンルから入って映画を作りたいというかたもいるでしょう。例えばホラー映画が大好きだからホラーが撮りたい、など。その場合、大好きなジャンル以外をあえて選ぶことの方が不自然ですので当然そのジャンルの作品を作ることになりますが、仲間集めにあたってはこのようにジャンルが明確な方がやりやすい場合があります。募集の際にそのジャンルが好きなひとが集まりやすいからです。

呼び掛けに応じて来てくれた人には、それぞれ個別に予定を合わせて会うことになります。それだけでも、けっこうな時間を消費します。
当たり前ですがその機会に、あなたがいったいどういう内容の映画を作るつもりなのかを伝えて、それによって相手が一緒にやりたいと思うかどうかを判断して貰う必要があります。ですから、少なくとも自分の中でテーマを絞ってそれを言葉にして伝えられるようにして置かないと、せっかく時間を作って来てくれた相手にも無駄足を踏ませてしまいます。


どうやって集める?

仲間を募集する際には、知り合いなどに直接声を掛ける他には、ネットの掲示板への書き込みが中心的な方法になると思います。
その文章ひとつ取っても、あまりいい加減な内容ではあなたの映画に対する姿勢がバレてしまいます。たとえば…

「これから映画を作ろうと思います。気の合いそうな仲間を募集しています。メールアドレスは…」

みたいな書き込みをたまに見かけますが、これではまず良い反応は期待出来ないと思います。少し手直しして出直してみましょう。

「はじめまして、犬山犬雄・30才・男性です。
連続殺人犯と被害者の娘との恋愛をテーマにした長編映画の制作を計画しています。
今回が初めての作品になりますが、劇場公開を目標にしています。
一緒に作ってくれるスタッフを募集します。経験は問いません。
当方埼玉県に在住のため近県にお住まいで興味をお持ちのかたは下記のメールアドレスまでお気軽にご連絡ください。
参考までに、私の好きな作品は『犬神家の一族』、『南極物語』などです。
宜しくお願いします。」

だいぶ分かりやすくなったかと思います。
とにかく作りたい映画とあなた自身のことを簡潔に伝えることが大切です。


どんなひとなら上手くいく?

あなたが映画制作を中心となって行うとき、「この指とまれ!」と言ってこれから苦楽を共にする制作仲間を募る訳ですが、その呼び掛けに応えて集まってくれる人達は、だいたい次のようなパターンに分類出来ると思います。それぞれの特徴と対応のしかたを書いてみます。

○元々あなたの友人や知り合い

以前から映画の話をしたりするような仲のよい関係。人間関係がゼロからスタートではないので気が楽です。心置きなく作りたい映画のイメージについて語りましょう。

○映画制作を勉強していたり実際に制作した経験があって、その技術や知識を活かしたいと考えているひと

こういうひとは普段から募集記事に目を光らせています。その中で、あなたの呼び掛けに対して少なからず興味をひくところがあったから反応してくれたのだと思います。このタイプのひとから連絡を貰ったら素直によろこびましょう。

○特に何がしたい訳ではないが、なんとなく何かがしたいと思っていたひと

たまたまあなたの呼び掛けを目にして、なにかしらワクワクするものを感じたというタイプ。このようなひとからの反応はけっこう多いです。そのひとに何かしらの特技があって、あなたとの相性がよければ、映画制作の強い味方になるのは間違いないです。優先順位は低いですが、必ず何度かやり取りをして、制作に必要と感じたら一度は実際に会っておくことをおすすめします。

○完全なきまぐれ、または暇つぶし

ネットの世界では単なるメールのやり取りに生き甲斐を感じている種類のひともいます。特に何かがしたい訳ではなくて、なんとなくいろいろな相手といろいろな話しをしていたい、というのが主な目的です。内容が有るようで行動は伴いません。その様なひとと「メル友」になっている余裕は無いので、なるべく早めにやり取りを切り上げましょう。

では、どんな基準でどの様なひとと一緒にやることにすれば、最後まで制作がうまくいくのでしょうか。よい例、悪い例をあげて説明していきます。


こんなひとと組んじゃダメ!

初めて映画を作りはじめるのですから、知らないことや分からないことだらけで当然です。さらに困ってしまうのが、映画や演技をしているひととのコネクションがなかなか無いということでしょう。そこで一人でも劇団や自主映画団体に所属している知り合いが出来ると、ついそのひとの持っている人脈に頼ってしまいがちになります。手っ取り早く同じようなことに興味のあるスタッフが集まる可能性が高いからです。

ところが実際には、その人脈はそのひと自身が築いた繋がりではなくて、劇団や自主映画団体固有のコネクションなのです。つまり一人のひとに頼ったつもりが実際には既存の団体に頼る結果になってしまうことが有る訳です。
このことの問題点は、既に実績のある人達の集まりと、ゼロから映画制作をしようとしているひととの「差」です。
その差は当たり前の様に上下関係を生じさせてしまいます。自分の映画を作ろうと考えていた筈が、いつの間にかその劇団や団体の作品として取り込まれてしまう恐れが有るのです。

「劇団や他の自主映画団体とは組まない。」例外は有りますが、最初からこの様に心に決めてしまうのが失敗しないための近道です。

もちろん、そういった団体に所属しているひとが、その団体を離れてあなたの制作に参加してくれる、というなら話は別です。
もし掛け持ちならば主要メンバーとするのは無理です。劇団の公演や自主映画団体の撮影・上映の仕事があるとそちらを優先されるからです。どうしてもと言う場合は、今後必要に応じてスポット的なお手伝いをお願いするようにしましょう。

また、手っ取り早く制作技術を手に入れたりスムーズに人脈を広げるために、ある程度の経験値や知名度があるひとに頼ってしまうというのも考えものです。
ひとにはそれぞれの段階があり、それに応じて目指すものが違ってくるものです。今回主体となる制作者はあなた自身の筈ですから、あなたがこれからやろうとしている目標をクリアした経験のあるひとと対等な関係で組むことは難しいと思います。運良くそういったひとと知り合えたら、必要に応じてアドバイスを貰う程度の関係にとどめておくのが得策だと思います。

また、あまりにも目標が低すぎるひとや、やる気の無いひとと組むのはさらに問題です。これは言うまでも無いことで、特に説明は要らないと思います。


こんなひとなら大丈夫!

さて、少々乱暴ではありますが、仲間にしても大丈夫なひとの条件をわかりやすく箇条書きにしてしまいましょう。

○メールの反応が早くて確実だ

→一番簡単に仲間の適性を判断出来るところです。むしろこの条件を満たさないひとと組んでは絶対にいけません。

○最低限の礼儀正しさがある

→制作者が監督をするにしても最初はドのつく素人です。そんな人間に対しても丁寧に対応してくれるひとは相手を尊重することの出来る優れた人物である可能性が高いです。

○待ち合わせの時間に遅れない

→撮影に入ると時間厳守が基本です。とはいえ誰でも予想外の事態はあるのでもし遅れる場合にはどのくらい遅れそうかをちゃんと連絡してくれる人なら大丈夫です。また普段から体調管理に気を使っているひともポイントが高いです。

○苦労の多い人生を歩んでいる

→苦労の多いひとは乗り越えるすべを知っています。また辛いときにじっと耐える方法も体得しています。映画制作は地味で地道な作業の連続ですのでこういうひとの姿勢から無言のうちに学ぶことはきっと多いと思います。

○このひとから「映画」を取ったら何も残らなそうだ

→出来ることなら彼(彼女)から映画に関わる機会を奪わないであげてください。ただ、このタイプは余りにも映画が好きすぎて周りが見えなくなる時があるので、制作において全体と個人との関係性をしっかり理解してくれるひとであることが条件です。そこをしっかりと見極めてから組みましょう。逆に映画をあまり愛していないひとであっても仲間の適性という観点ではまったく差し支えありません。


以上の様に、仲間集めにおいて、映画の知識や技術・経験などはあまり問題にする必要がないことがおわかり頂けたかと思います。必要なのはむしろ基本的な人間性がしっかりしていることです。
このあとは少し気長に構え、時間を掛けてこれから作る映画についてじっくりと話したりすることが必要になります。何度か集まりを重ねるうちにお互いに信頼関係が生まれてくると思いますし、反りの合わないひととは疎遠になってゆくことでしょう。またそれぞれの得意・不得意な分野もわかってくるので役割分担も自然に進むと思います。作品の具体化も同時に進めることが出来ると思いますので、けっして無駄な時間ではありません。


ゼロからの仲間達

何かに挑戦するにあたって、スタートラインを同時に切るということは仲間との強い協調性を生む要素のひとつだと思います。
自分にとっても仲間にとっても初めて通る道、見たことのない景色。自分自身と同様の「ゼロからはじめる仲間と組む」ということが、今回の制作においてとても大切な要素だと考えます。
一緒にまだ見ぬ自分たちの映画をイメージして、何だか無性にワクワクするような感じを共有しましょう。


もちろん、今回ここに書いたことがすべて正解とは限りません。人間は千差万別、ひとが絡むものごとを一般化することは不可能です。また映画自体もひとの集まりである以上、それと同様です。
ですから仲間を集める上で最も重要なのは制作者であるあなた自身の人間性といえるでしょう。
とは言っても、人格者である必要もなければカリスマ性も要りませんので安心してください。人付き合いが上手ではなくても、熱意をもって望めば道は開けると思います。
この記事をひとつの参考にして、ひとに対する感覚を研ぎ澄まし、沢山のひとに自分の撮りたい映画を説明する中で作品のイメージをより明確にしながら仲間集めに取り組んでいって貰えたらと思います。

次回からはもう少し具体的な制作のお話に移っていきます。お楽しみに。





posted by 帆根川 廣 at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ゼロから:ステップバイステップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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